クリーニング業における商品管理の理論と実践

クリーニング業における商品管理の理論と実践クリーニング業における商品管理の理論と実践
瀧藤 圭一 著
(売り切れました)
 
 
 
 
 

はじめに

何故、商品管理なのか。
そのルーツは外交にあります。
ルート外交において、個々のお客様に対して週に2回ないし3回訪問するに当たり、お預かりした商品が全て揃っているのか、揃ってないのであればその理由は何なのか。約束した納期に、お預かりした商品がきっちりと納品できるのか。いやその前に、お預かりした商品をお預かりしたそのお客様に間違いなくお届けできるのか。外交は常にこれらの事を正確におこなう事が求められます。もちろん、外交でなくてもクリーニング業を営む限りは、これらの事は正確におこなわなければなりません。ただ、個々のお客様の担当がはっきりと決まっている外交においては、もし間違いがあれば、その責任の所在が明確になるので、よりその重要性を認識する事になります。しかし残念ながら、全て間違いなくこれらの事をおこなう事は非常に難しいものがあるのです。というのは、人間は3%の確率で間違いを犯すといった研究報告があるくらいですから、これらの事をミスなくおこなうには限界があるということになります。
物品販売業であれば、不良品が出れば返品取替えをすれば補う事ができます。また、製造業であれば、不良品の発生率を予め予測し欠品分を余分に製造することで補う事ができます。しかし、クリーニング業は商品を販売したり製造したりといった業ではありません。取り扱うものは常にお客様の預かり品です。ということは、一切の間違いは許されないということです。この事が販売業や製造業とは異なる点であり、一番大切な事です。お客様の大切な預かり品である限り、間違いは許されない。これがクリーニング業における技術やサービスよりも最も大切で重要な大前提でなければなりません。外交はこちらからお客様の所に訪問する為に、この事が如実に現れるので、否応なしに認識せざるを得ないのです。もちろんこの事は、店舗や集中工場においても同じです。いや店舗や集中工場は取扱う点数が外交とは比べ物にならない程多い為に、これらの問題はもっと大きな問題となります。

おりしもクリーニング業界は不況真只中です。回復の兆しすら見えない状況です。一時的には多少は持ち直す事があるかもしれませんが、長期的にはまず回復は期待できないと思った方がいいのです。
何故なら、クリーニングとは基本的には着用後の衣類を、もう一度着用できる状態に戻す作業をおこないます。ということは、着用する固体である人そのものの数が売上を左右する事になります。しかし、日本の総人口は国勢調査による中位推計の結果に基づけば、平成18(2006)年に1億2,774万人でピークに達した後、以後長期の人口減少過程に入る事が決まっています。ということは、今後クリーニング業界は、お客様の激しい争奪戦が始まり、厳しい淘汰の時代に突入する事を示唆しています。
ではこの激しく厳しい大競争時代に店が存続していくには、どうすればいいか。技術力を高める、サービスを充実させる、または価格操作といったマーチャンダイジングをより高度に適応させることが当然のごとく求められます。しかし、その前にもっと大切な事があります。
お客様は何故その店を利用しようと思うのでしょうか。何故大切な衣類をその店に預けようとするのでしょうか。この問いかけに、今一度お客様の立場で考えてみて下さい。

技術も大事、サービスも大事、価格も大事、でももっと大切で基本的な事があります。それは、その店が本当に信用に足りる店であるかどうか。この一点に尽きます。その信用を得る為に必要な事、それがこれから説明する商品管理なのです。
外交を長年おこなってきたからこそ、一対一でお客様と長年向き合ってきたからこそ、商品管理の重要性がより切実に分かるのです。

本書では前半を商品管理の考え方と理論、後半は実践的な手法等をできるだけ平易な言葉で説明しています。商品管理とは何なのか、それを間違いなくおこなうとどうなるのかを、知って頂きたいのです。

 

コメントは受け付けていません。