現場からのクレーム対応(3)/予防・対策編

現場からのクレーム対応(3)/予防・対策編現場からのクレーム対応(3)/予防・対策編 [完売廃版]
瀧藤 圭一 著
2012年12月01日発売
出版社名:ゼンドラ株式会社
価格:2,100円
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はじめに

クレームとは、天使の囁きなのか、悪魔の恫喝なのか。

クレームは同じ対応をしても、人によって感謝されることもあれば、こじらせて大きなトラブルになることもあります。その時々でどちらにも変わる、複雑怪奇とでもいうのでしょうか、厄介で、それでいて大切な存在です。
特に厄介なクレームの大部分は、トラブルによるクレームです。クリーニング事故はいくら注意していても起こるものです。うっかりミスもあるでしょう。技術的なミスもあるでしょう。もちろん、衣服自体に欠陥がある場合もあるでしょう。熟練のクリーニング師でも、その時々の状況によって事故を起こしてしまうものです。
また、お客様が過度の期待を持たれていて、それに応えきれないときもあります。ましてや、お客様自身が気づいていなかった瑕疵がクリーニングによって顕在化し、トラブルに発展する場合すらあります。
さらには、わざとトラブルをでっち上げ、クレームにしようとする輩まで存在します。
クレームを受けたとき、事故やトラブルが起こったとき、それをこじらせてしまうか、それとも明日への糧とするかは、その捉え方によります。もちろん、「イチャモンクレーマー(悪意のクレーム)」は論外です。この輩は、百害あって一利なし。この厄介な連中から店や会社、そして大切なスタッフたちを守らなければなりません。
できることならクレームは受けたくない、クレームから逃げ出したいと思うのも分からなくはありません。解決するまでのあの憂鬱な日々は、二度と経験したくはないのですから。
しかし、クレームから逃れることはできません。いやそれどころか、クレームを宝の山に変えなくてはいけません。だとすれば、クレーム処理のスキルを、是が非でも身に付けなければならないのですが、これが難しい。
なぜなら、これさえ覚えればクレームはすべて解決できる、という生易しいものではないからです。
たしかに、経験を積み重ねることが、解決へと導く一番の方法です。経験に勝るものはありません。しかし、事前に、それも実際に起こったクレームの処方箋を学んでおくことは、経験と同じくらい役立つことも異論がないでしょう。
とはいえ、なんの知識もなく無防備でこのクレームに立ち向かうこともできませんから、必要な知識を習得しておく必要があります。それも、クレームはその時々で形を変えるだけに、より実践思考の勉強が大切です。

このような理由で、「クリーニング現場からのクレーム対応」を刊行させていただきました。
クレームを十把一絡げに括るのではなく、その内容によって分類する。そして、基本的な対応の手順はどうするのかをまず、取り上げました。
そして次に、クレーム対応に必要な知識とは何か、さらには現実に起きた事例をいくつか紹介しながら、どのように対応したのか、そして結果はどうだったのかといったことを取り上げました。
本書はその第三弾。いよいよクレームの予防策とその処方箋です。
クレームはなくなりません。だとしたら、できるなら「宝の山」だけにしたい。トラブルクレームやイチャモンクレーマーは、ご遠慮申し上げたい。
では、そうするには何が必要なのか、どうすればいいのかといった処方箋を本書は書き綴りました。それも実践ですぐに使えるようにと、かなり具体的に書き込んだつもりです。それだけに、ところどころ難しい箇所があるかもしれません。ご容赦下さい。

本書が、スムーズなクレーム処理の実現に寄与できれば、これほど嬉しいことはありません。

最後に、この書の出版に際して、書き終えるのを辛抱強く待って頂いた、全国ドライ新聞社の関誠社長。そして、執筆に専念できるようにと、なにかと心配りをし、尚且つ、いつもながらの駄文の推敲をしてくれた妻、友子に、この場をお借りして心から感謝を申し上げます。

2012年02月
瀧藤圭一

 

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